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2017年10月19日
「女性アスリート心理サポートカフェVol.2」が開催されました

当日の様子

当日の様子

 

10月15日(日)、本学中央棟にて「女性アスリート心理サポートカフェVol.2」が開催されました。今回のテーマは「女性のからだと運動〜自分のからだをみつめてみよう」。話題提供者として鹿屋体育大学の栫(かこい)ちか子講師をお招きし、女性アスリート特有の様々な問題についてお話いただきました。

参加者には現役女性アスリートや研究者、女性アスリートの支援に携わる方など学内外より9名の方々にご参加いただき、それぞれの立場から多くの意見や質問が飛び交う和やかな雰囲気で開催致しました。

「女性アスリート心理サポートカフェ」は、平成29年度「スポーツ庁委託事業女性アスリートの育成・支援プロジェクト<女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究> 女性アスリートに対する心理サポートプログラムの開発」に基づいて実施。

女性アスリートを取り巻く環境を整備するうえでの様々な課題を毎回のテーマに掲げ、「競技現場」「研究」の視点より情報共有や意見交換を通し、ハイパフォーマンス領域における女性アスリート心理サポートコンソーシアム構築に向けた今後のアクションを検討することを目的として行われています。

「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」については、こちらを参照ください。

 

近年、国内外において女性アスリートが目覚ましい活躍を見せる一方で、「女性アスリートの三主徴」が問題視されています。
三主徴は「エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」の女性アスリートが特に陥りやすい身体的問題の総称で、これらは骨折や将来の妊娠分娩に大きな影響を与えると言われています。

栫氏は、多くの女性アスリートや指導者が、この三主徴のパフォーマンスに与える影響に関する知識を持たない現状について言及し、競技現場においてアスリート自身は勿論、指導者への啓蒙と男女相互理解を促す環境整備が必要だと訴えました。

女性は成熟期に過度な運動をすることにより女性ホルモンやエストロゲンが正常に分泌されず、月経異常(月経周期異常、経血量異常、無月経等)に陥ってしまう危険性が高まります。

また低エストロゲン状態に陥ると骨密度が低下し(骨粗鬆症)、進行すると疲労骨折を起こす等の傷害に繋がる可能性が高くなります。

栫氏は講義の中で、自身の新体操現役時代に経験した、過度な痩せ形体型の維持により陥った月経異常や引退後の妊娠・出産時の実例を挙げ、女性アスリートにとって「男性指導者の理解」「婦人科受診への抵抗感」「競技の採点基準(特に新体操やフィギュアスケート等の観られる競技)」が壁となり女性アスリートを取り巻く問題を深刻化させていると指摘し、「若い女性アスリートが、その後の人生や競技引退後、妊孕(にんよう)性(せい)に問題無くどのように生きていくのか選べる選択肢が多くあることが望ましい」と訴えました。

ディスカッションの時間では、「女性アスリート同士の会話の中で、互いに月経異常を認識しながらも大きな問題と意識していない」や「月経異常である現状が不安である一方で、無月経状態は痛みやダルさ等が無くパフォーマンスが安定している感覚で、正常に月経が始まることによるパフォーマンス低下も不安」等様々な意見が飛び交いました。
またこれらの問題の解決策についても議論され、「リストバンドを活用して男性指導者に直接伝えづらい月経期間であることを伝達する」「指導者とアスリートの競技日記に月経期間を明記する」「専用アプリ活用による管理」など具体的な事例等も紹介されるなど活発な議論が行われ、今後の課題解決への期待を大いに膨らます形で会を締めくくりました。

次回、「女性アスリート心理サポートカフェVol.3」は11月中旬を予定しています。

開催情報は当サイトにて順次ご案内いたします。

 

 

栫(かこい)ちか子講師と大阪体育大学の土屋

栫ちか子講師と大阪体育大学の土屋

 

 

アスリート達に説明する栫ちか子講師

アスリート達に説明する栫ちか子講師