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2017年9月15日
第3回カンスポスピンオフセミナー「日本版NCAAとは~大阪体育大学の取り組み~」

会場の様子

当日の会場の様子

 

9月5日(月)、大阪産業創造館にて開催された関西スポーツネットワーク交流会のスピンオフセミナーにて、本学の浦久保和哉Daitaidai Athlete Support & High Performance(DASH)プロジェクト スポーツ局準備室(スポーツ局準備委員会 副委員長)ディレクターが登壇しました。同会は関西でのスポーツ分野における人材交流を目的に開催され、当日は50名を超える参加者が集まりました。

浦久保ディレクターは、プレゼンテーションの冒頭で自己紹介をすると、2012年に文部科学省が10年程度の基本方針を定めたスポーツ基本計画第1期を制定し、2015年にはスポーツ庁が開設、2016年4月からは大学スポーツの振興に関する検討会議が開かれたなど、国内政策の流れを紹介しました。

政府は現状5.5兆円規模のスポーツ産業を2025年には約3倍の15兆円にまで市場拡大することを目標としています。スポーツ基本計画第1期の中で⼤学においては、地方公共団体や企業等との連携・協働により地域貢献活動を実施することが期待される、と述べられており、政策の中で全米大学体育協会であるNCAAをモデルに、競技の枠を超えた統括組織を作ろうとする動きがあります。

NCAAはアメリカにおける大学スポーツの統括組織で加盟校は1092校に上り、24競技90大会を主催。・勉学に励むこと・心身ともに健全であること・公平性とガバナンスの3つを最優先事項として事業が推進されています。
浦久保ディレクターは「NCAAはこの発想があったことで拡大し、大学が地域から応援される好循環が生まれた」と話しました。大学の規模や保有する施設、資金力などを基準としたNCAAのディビジョンの分け方(Ⅰ~Ⅲ)についても触れ、競技レベルの均衡を保つ上でもこのシステムは「非常に合理的」と評価する一方で、ビッグマネーを生み出しているのはアメリカンフットボールと男子バスケットボールで、その収益を他競技に分配してバランスがとられているといったNCAAの実態についても紹介しました。

また、NCAA以外にも外国人留学生の受け入れが比較的しやすい奨学金制度を持つNAIAや、2年の短期大学が加盟対象のNJCAAなど他の大学スポーツ統括組織についても例をあげ、これらの組織があることで学生アスリートにとっては奨学金の受給や学習機会のサポートなど、選手活動を担保してもらえるメリットがあり、その結果、アメリカは高学歴なアスリート、オリンピックメダリストを多数輩出しているといった実態についても言及しました。日本で同様の統括組織を作った場合、既存の競技団体とどのように調整をしていくのか等、超えるべき壁は高いですが日本版NCAAに限らずとも「適性な事業スキームを見つける、これまで日本のスポーツ界が全くしていなかったことですが、それがすごく大事」と訴えました。

後半では、本学が取り組むDASHプロジェクトの構想や具体的に推進する事業、すでに実施されたタレント発掘事業や女子レスリングの伊調馨選手を招いての地域イベント、大学内での顧問同士の知識の交流などの具体例を挙げ、70分を超えるプレゼンテーションを締めくくりました。最後の質疑応答では参加者からの質問も多数あり、活発な議論が行われました。

大阪体育大学は今後も全学を挙げてDASHプロジェクトを推進し、大体大ビジョン2024で掲げた「競技力向上の発展に貢献する研究」と「内外トップアスリートと連携した地域スポーツ振興」の推進に取り組んでまいります。

 

スピーカーを務める浦久保和也DASHプロジェクトディレクター

スピーカーを務めた浦久保和哉DASHプロジェクトディレクター。

 

会場の様子

会場の様子