2016年8月4日選手・指導者へのサポートが育む
スポーツの社会的価値を高める人財

競泳
尾関 一将  准教授

競泳
尾関 一将  准教授

デフリンピック水泳金メダリストの金持義和選手を指導し、
大学院ではともに研究を進める関係でもある尾関一将准教授。
世界で活躍するアスリートの育成を通じて、尾関准教授が社会に広めていきたい
スポーツの価値、そして目指すべき方向性とは—。

広い視点で世界を目指す水泳指導

中京大学大学院を卒業し、福岡大学で3年、大阪体育大学で指導をするようになって6年目。選手時代の自分は競技力がなかったものですから、指導者としてオリンピックに出られるような選手を育成したいと考えてこの道を選びました。
ただし、そんな能力の高い選手に出会える機会は、そう多く恵まれるものではありません。しかし幸運にもそのようなチャンスが訪れたとして、そのときに十分な指導力、育成環境が整っていなければ、素晴らしい出会いを無駄にしてしまうことになります。つまり、どんな状況にあってもオリンピックのような高みを目指すことができる準備をしておくことが、指導者として大切なことだと考えています。

また、私の教え子たちが将来指導者になって、例えば本学に優秀な選手を送ってくれるとか、あるいは息子や娘が水泳に取り組む場として本学を選択してくれるというようなチームを作ることが広い視点で世界を目指すことになると考えています。今はそのための準備をしている段階だと思っています。

教える側としては水泳の技術はもちろんですが、「水泳は人間形成の道である」と考えて、物事の考え方、課題の乗り越え方、トップ選手としての振る舞い方なども、水泳を通して教えていけたらなと思います。そんな人間的な魅力の高い選手が増えることで、社会におけるスポーツの価値も高まってくるはずです。
そのことは、私が指導しているデフリンピック金メダリストの金持にもよく話しています。彼も一流選手であり、周りから注目されている存在ですから、競技レベルに則した物の考え方、行動をするようにと常に言い聞かせています。

DASHにおけるサポートの重要性

DASHがスタートし、アスリートに対するサポートが始まりました。金持の場合は、おもに栄養面でのサポートを受けています。合宿のときや私が一緒に食事をするときは、彼の食生活にアプローチできるのですが、普段の生活ではそれができない。栄養面での支援や指導をしていただいてからまだ3週間ほどですが、彼が目に見えて変わってきていることがわかります。
食事を摂ることによって体が大きくなることもそうですが、なによりコンディショニングが安定してきました。今までだったら「これ以上はもたない」という練習の限界も、すんなり乗り越えられるようになっています。つまり本人の努力ではどうにもならなかったところが、スペシャリストのアプローチを受けることでいい方向に進んでいるなという感じがします。

一方、これはまだ十分には実現していないことですが、指導をする側に対するサポートも重要になってきます。大阪体育大学や、DASHの看板を背負って学生とともに世界に挑むのであれば、教員としての指導と、コーチとしての課外活動の指導の両立が難しくなってくることもあります。アスリート同様、指導者にもある程度は選手の育成に専念できる環境づくりが施される必要性を感じています。これは今後DASHのプロジェクトの一部として、組み込んでいただきたいと望む要素です。本学は体育大学ですから、それを全国に先駆けて実施する役割を果たしていけたらいいですね。

スポーツの可能性と価値を高める人財育成

私がスポーツの指導者として夢に描いているのは、自分の教え子たちが水泳や教育の現場に出て行った後、それぞれのステージでスポーツの社会的地位を高めていってほしいということです。スポーツに対し真剣に取組んでいる学生や教員、研究者、指導者であれば、スポーツを通じていろいろな経験をすることの素晴らしさをよく知っています。それを社会に広めることができる人、人徳があり、スポーツの価値を高めることができる人財を輩出していきたいというのが私の目標です。

スポーツに関わる人の価値が高まっていくことで、きっと世の中の流れも変わってきます。例えば金持は肉体的な障害を持ってはいますが、そんなことには関係なく、向上心を持って努力し、結果を残すことで大きな名誉を勝ち取ることができる。つまり健常者であれ、障がい者であれ、誰もが楽しめて、誰もが憧れの存在になることができるのがスポーツの魅力であり、大きな価値です。そんなことを実現できる人財を一人でも多く育成していきたいですし、強いて言えばそれがDASHというプロジェクト、大阪体育大学という教育機関の大きな存在価値になるのではないかと思います。

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