2016年8月4日ハンドボールの名匠が描く
常勝チームのつくり方とDASHの展望

ハンドボール部(女子)
楠本 繁生  准教授

ハンドボール部(女子)
楠本 繁生  准教授

全国大会出場経験のなかった京都府立洛北高校・女子ハンドボール部を監督として率い、
23年間で女子高校界初のインターハイ4連覇、2年連続高校3冠を達成。
2010年に母校の大阪体育大学に転身してからは、女子ハンドボール部インカレ3連覇という
偉業(5年間で4度の優勝)を成し遂げました。 楠本監督が考える、「勝つためのチームづくり」とは—。

選手を見ることで築く、信頼関係

私が洛北高校女子ハンドボール部を率いてインターハイ優勝をしたのが29歳のとき。その頃からさまざまな選手を指導し、チームづくりを経験してきましたが、強く感じることは「こうなったら日本一になれるという教科書はない」ということです。
選手一人ひとりを観察して、それを一番大きいベクトルにするにはどうしようということを考えてチーム作りをする。結果として勝ったら良し、負けたら何かが足りなかったと考え直すプロセスの繰り返しです。

ですから私の指導者としての役割は、選手を見るということに尽きます。外面だけでなく、内面の変化も見逃さないように、できるだけ言葉をかけるようにします。それもチーム全体に語りかけるよりも、個別に「ここが良くなってきている」とか「元気がないようだけど、悩んでるの?」というようなコミュニケーションをとります。選手の性格や状態を見ながら、場合によっては敢えてそっとしておく場合もありますし、引き離すような言動をとることもあります。
常に意識しているのは、指導者はできるだけコートに立ち、選手を「見てあげる」のではなく「見る」という姿勢をもつこと。それが信頼関係を気づくベースかなと思っています。

勝ちにこだわることで得られる主体性

母校・大阪体育大学で指導をしてから6年が経ちました。インカレでは3連覇、4度の優勝を経験し、今チームとしては非常に良い結果を残しています。しかし、勝っているときだからこそしっかり足元固めないといけない。それが次のステージへステップアップしていくことに繋がります。今こそ手綱を締める時期と思っています。

その意味では、これまで以上に「勝つこと」を念頭に置いたチームづくりをしていくことになります。勝つことで「人の上に立つことの喜び」「注目されていることの意識」が、選手の日常の生活態度や練習姿勢を自然と変えていくのです。そんな変化がより大きな目標設定につながり、それを目指してチャレンジしていく力になるのです。
そんな意識をもって行う練習は「やらされるもの」ではなく「やるべきもの」になる。この練習では何を求められているのか、どうゲームに活かされるのかということを明確に理解するように、主体的に体と頭を使う練習ができるようになります。

確かにインカレ3連覇をしているチームではありますが、毎年チームは変わっていくものです。1年しかないチームのつもりで練習に励み、常にチャレンジャーという姿勢で臨みます。次の目標は日本選手権でベスト4以上の結果を生むことです。

DASHで変わる、強いチームづくり

DASHという取り組みが始まったことで、今後選手、指導者の両方を取り巻く環境は良い方向へ変わっていくと思います。 大阪体育大学にはいろいろな分野に専門の教員や研究者がいるので、お互いにコラボを組めば新しい発想や技術を選手に還元することができます。そうすることで、確かに選手はハンドボール部ではハンドボールの、サッカー部ではサッカーの指導を分かれて受けるわけですが、その大枠に「大阪体育大学」として育成メソッドが確立されてくるわけです。大学として4年間選手を育成する、そしてどう社会に貢献できる人材に育てていくかというプロセスが、そのまま大学としての値打ちになると思います。

指導者側にしてみても、例えば私が高等学校の教員だった時代、指導の幅を広げるためにもっといろいろなことを勉強したいと思ったとしても、選手がコートに立っているときにはその時間を取ることが難しいと感じることがありました。資格を取りたかったなとか、勉強したかったなというのは正直な自分の気持ちです。
しかし大阪体育大学のスタッフ全員で選手を支えるスタイルができあがると、指導者としての24時間の使い方にゆとりが出てきます。それがさらに強いチーム、選手を育てるためのベネフィットになってくるのではないでしょうか。 DASHを進めることにより、魅力のある大学とは何かという課題が自ずと紐解けていくような予感をしています。

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