2017年11月14日

三島隆章准教授の研究成果と知見を社会に還元。
シニア世代の健康への取り組みに賞賛の声

田尻町「たじり健康フェスタ」、
大阪タカシマヤ「Let’sスポ活」

2015年4月より本学に着任し「スポーツ生理学」「発育発達学」を専門分野とする三島隆章先生。主にジュニア期の成長過程とスポーツ選手の体力・運動能力の発達に着目した研究を行い、体育・スポーツの専門大学である本学のハイパフォーマンスの現場に知見を落とし込んでいます。

その三島先生は、本学のアスリートだけでなく、広く地域社会に対しても研究の成果を還元。
特にシニア層の健康の維持・増進にむけた取り組みも熱心に行っているひとりです。
この秋「たじり健康フェスタ」「Let’sスポ活」という2つイベントで、三島先生は直接シニア層の方々と時間を共有し、カラダと健康について向き合いました。

「田尻町8000人健康大家族」を掲げる町が作った、
「たじりっち体操」をイベントでお披露目

たじり健康フェスタでは、三島先生のゼミ生たちが体力・運動能力測定を実施

田尻町の民生部健康課は、町民の健康づくりに対する意識向上と主体的な活動を促すことを目的に「田尻町8000人健康大家族」を掲げオリジナルの体操を作ることを企画。シティプロモーションをはじめ、町民にとって運動ツール・交流ツールの役割も備えます。

このオリジナルの体操を開発するにあたり、運動による健康づくり・介護予防の効果が期待できる内容にするため、科学的根拠に基づく体操作成に対し白羽の矢が立ったのが本学。代表して三島先生が監修にあたりました。

たじりっち体操を監修した三島先生も参加し、完成披露を行った

たじりっち体操は3つの目的を盛り込み作られています。
1つ目は「田尻町オリジナルの音楽と体操」であること。この体操の振り付けは、健康運動指導士の松下裕子さんが担当しました。2つ目は「3世代でできる体操」であること。子どもからご高齢の方まで、一人でもみんなでも楽しめることが求められました。そして3つ目は「健康効果盛りだくさんの体操」であることで、こちらは三島先生の監修により上肢と下肢の動作がバランスよく21種類組み込まれています。

覚えたての「たじりっち体操」を、園児やご高齢者が初披露

完成した「たじりっち体操」は、10月15日(日)に田尻町シーサイドドーム(田尻町嘉祥寺883-5)で開催された「たじり健康フェスタ」にて初お披露目。この日、イベントに駆けつけた三島先生も登壇して見守る中、田尻町立保育所・幼稚園園児たちや三島研究室のゼミ生と一緒にご高齢者も楽しそうに体を動かしました。

三島先生は田尻町の公式パンフレットの中で「幼児期・児童期は、身体づくり、バランス能力を養うのに適した時期」だといわれています。また、中高齢者においても下肢の筋力やバランス能力の低下が歩行能力の低下や転倒の危険性の増加に関与していることが指摘されているため、下肢の筋力やバランスの能力の維持・増進は重要な意味を持ちます」とコメント。「たじりっち体操」でも下肢筋力の向上をめざした動きが多く取り入れられました。

大阪タカシマヤ「Let’sスポ活」で、
三島先生がご高齢者に授業を開催

昨今、健康や運動・スポーツへの関心が高まる中、大阪タカシマヤ(大阪市中央区)では「Let’sスポ活」と題したイベントが10月25日~10月30日の5日間をかけ7階催事場で開催。本学は26日(木)、終日ブースを出展、主にシニア層を意識した体力測定を実施しました。

「シニアクオリティ」を使って開眼片足立ちの測定を実施する80歳代の女性

「大体大DASH元気ラボ」と題した本学の企画では、三島先生、そして下河内洋平先生らが監修したスマホの健康アプリ「クオリティ」「シニアクオリティ」を使用。開眼片足立ち、垂直跳び、ステッピングテスト、Timed up and goの4種類がスマホで手軽に測定できるとあり、開店と同時にシニア世代が相次ぎ来場しました。

三島先生自らもご高齢者の測定結果に向き合いアドバイス

イベントでは三島先生による「カラダがよくわかる授業」も開講。聴講した生徒はすべて70歳以上のシニアで、普段は出逢うことのない大学の先生の授業にメモを取る熱心な方も見受けられました。講義はスクリーンに画像を映し出す形式で行い、三島先生は時折クイズを交えるなど、どなたでも興味を持ってもらえるように工夫。筋肉の種類や機能、また筋力をつけることが健康に大きく関係していることなどをゆっくりとした口調で語りかけました。

参加した80歳代の女性は「筋肉のことなど意識したこともなかった。でも赤みのお刺身と白身のお刺身を画像で見せ、筋肉の色の違いや、魚の動き方の特性を解説してくれるなど非常にわかりやすかった」と感激した様子。日常生活の中でも下肢の筋力トレーニングを取り入れていきたいと話していました。

このイベントの運営には三島研究室のゼミ生たちが参加し、各種測定や測定結果に対するアドバイスを行いましたが、時には三島先生自らが測定結果に基づきアドバイスをする一幕も。直接指導を受けた80歳代の女性は「自分の身体のことは自分が一番よく知っていると思っていたけど、先生の方が私の身体のことを知っていて驚いた。どうして膝が痛いのか、それにはどんな運動をしたらいいかなど優しく教えてくれた」とお喜びの声。メカニズムを知ることで、日常の動作に対するヒントが得られたようです。

日ごろはスポーツ科学の研究や教育、そしてアスリートの競技力向上のサポートに尽力される三島先生ですが、超高齢化の到来を迎える健康の維持・増進といった社会課題の解決にも精力的に取り組み、大学内で得た知見を、町や地域への活用も大切にしていると言います。

のべ約7000人の子どもたちを測定!
そこで見えてきた研究結果とは

たじり健康フェスタに参加した子どもたちも体力・運動能力測定に挑戦

三島先生は、これまで7歳から15歳の男女を対象に、のべ7000人の体力・運動能力の測定を全国各地で行ってきました。測定では、スピード、方向転換能力を示すアジリティ、瞬発力など6種目について実施し、それぞれについて分析。その結果、これまで身長が最も伸びる年齢(男子では約12歳、女子では約10歳)の直前に発達のピークを示すといわれてきたスピードやアジリティは、もっと低い年代である8歳頃までに発達のピークを示すことが分かったといいます。体力・運動能力が著しく伸びている時期は、トレーニングするのに適した時期だといわれています。そのため、スピードやアジリティといった体力・運動能力を養うためには、小学生の低学年頃が適している可能性があると示唆。大量の調査や分析の結果からの知見がそれを裏付けました。

また、スポーツ生理学の研究においては「スポーツ科学と現場の橋渡し」としてハイパフォーマンスを支えます。

一般的に「スポーツ科学は研究者」「現場はコーチやトレーニングの指導者」というように、まだまだ、各々が個別に取り組んでいることが多いのが現状です。しかし近年では、スポーツ科学と現場が協力し、アスリート育成や強化にチームで関与し始めております。

三島先生が監修した「クオリティ」「シニアクオリティ」といったアプリケーションを用いることによって、研究による知見やノウハウを、スマートフォンを介して現場に簡便に提供ができるようになったのです。

一見するとスポーツ科学と現場には距離があるように感じますが、スマートフォンのような身近にある情報機器を利用することで、スポーツの研究知見が身近な存在となり、スポーツ科学と現場との橋渡しが比較的容易にできるようになりました。

子どもに着目した発育発達の研究。
だからこそ老いの過程も理解できる

「たじり健康フェスタ」に参加した皆さんは体力測定に参加し、ゼミ生のアドバイスを真剣に聞き入った

三島先生は現在、ジュニア世代のスポーツ選手の体力・運動能力の発達の様相を明らかにするべく、日夜研究を進めています。その中で、子どもから成人へと発育発達を遂げる過程を調べれば調べるほど、成人から高齢者へ到る加齢の過程についても、少しずつではありますが理解が深まってきたといいます。つまり、子どもから成人までの身体や体力・運動能力の変化の過程と加齢に伴う身体や体力・運動能力の変化が表裏一体であること。

このような調査・研究の成果があったことで「クオリティ」だけでなく「シニアクオリティ」の監修に携わることにつながったようです。

今後、ジュニア世代だけでなく中高齢者の体力・運動能力についても研究を進めることで、得られた知見は幅広い形で還元されるはずです。

一般の方がスポーツ科学の恩恵を身近に感じながらトレーニングに励む環境はこれから益々多くなると思います。超高齢化社会に突入した現在の日本において、スポーツの競技力向上で培われた知見は、同時にシニア層の健康の維持・増進を導く取り組みにも還元されるわけで、三島先生の研究成果や知見は、多くの方々の日々の生活の充実に役立つ資源となるのです。

<プロフィール>
三島 隆章 准教授
専門分野   運動生理学、発育発達学
学位     博士(学術)
最終学歴   広島大学大学院 生物圏科学研究科博士課程後期生物圏共存科学専修 単位取得退学

1971年生まれ。広島大学教育学部卒業後、トレーニングクラブに就職。2002年に広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程前期に入学し、2007年広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期を単位取得満期退学。2007年9月に学位(博士(学術))を取得。八戸短期大学幼児保育学科(2007~09年)、八戸大学人間健康学部講師(09~11年)、八戸大学(現:八戸学院大学)准教授(11年~15年)を経て、2015年4月より現職。研究領域はスポーツ生理学および発育発達学。現在は特にジュニア世代から高齢者の体力・運動能力の実践的研究に力を注ぎ、全国で測定会や運動教室等を実施し、体力向上や体力・運動能力向上の研究やトレーニング指導などを行なっている。

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